大人の発達

【なるほど】発達障害と自己中心的な性格の違いは?特性を理解し前向きに向き合うコツ

発達障害 自己中心的 違い

相談支援専門員や療育の立場で支援をして、日々多くの家族と向き合う中で、

メモ

「うちの子はわがままなの?」

「大人のあの人は確信犯で自己中なの?」

という切実な悩みを聞く機会が絶えません。

しかし、「単なるわがまま」「障害特性」は、見た目には似ていても、その根源にある理由は全く異なります。

結論から言えば、自己中心的な性格は「自分を優先したい」という意図的な選択であります。

自己中心的な性格と発達障害特性の比較
項目 自己中心的な性格 発達障害(ASD / ADHD)の特性
主な原因 価値観、育ち、選択の積み重ね 脳の機能や情報の受け取り方の違い
意図 自分の利益のために意図的に選ぶ 悪気はなく、気づいていないことが多い
伝え方への反応 指摘されると感情的に反発することがある 具体的なルールや理由があれば納得しやすい
メリット 自己主張がはっきりしている 専門性、正直さ、行動力、独創性
必要な対応 適切な境界線の設定、マナーの再教育 環境調整、構造化、具体的な指示(療育)

それに対し、発達障害は「周囲の状況を認識する脳の仕組み」に違いがある状態です。

この違いを知ることで、これまで感じていたイライラや疲弊を、具体的な対策へと変えていくことができます。

この記事では、性格としての「自己中心」と、脳の特性である「発達障害」の違いを相談支援専門員としてどう関われば楽になれるのかを解説します。

最後には本も紹介していましので、最後まで読んでください。

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自己中心的な人の育ち|環境と特性の相互作用を考える

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自己中心的な振る舞いが目立つ場合、これまでの「育ち」や環境が影響しているケースも確かに存在します。

過保護に育てられたことで「自分の思い通りになるのが当たり前」という学習をした場合などです。

しかし、障害の現場で感じるのは、実は「特性ゆえの困難さ」が背景にあると感じます。

そのため、特性が理解されないまま、周囲の不適切な関わりによって二次的に自己中心的な態度が強まってしまったケースもあります。

例えば、言葉の裏を読み取れない子が「空気が読めない」と叱られ続け、結果として「どうせ分かってもらえない」と自分の世界に閉じこもることがあります。

これは本人の性格というより、防御反応に近いものと感じています。

大切なのは「なぜその行動をとるのか」という背景に目を向けることが理解への一歩です。

環境調整や適切な成功体験を積む「療育」の視点を持つことで、周囲との調和を少しずつ学んでいくことが可能です。

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人の気持ちがわからない自己中は病気?認知の特性を知る

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「人の気持ちがわからない=冷たい、病気」と考えてしまいがちです。

しかし、発達障害(ASDなど)の場合は「心の理論」と呼ばれる、他者の視点に立って考える機能がゆっくり発達する傾向にあります。

「心の理論(ToM)」モデルによって、自閉症スペクトラム障害(ASD)の患者は情動、感情、信念および思考といった他人の心を理解する上で深刻な問題点があることが示唆されている。

ASD患者の特徴的な社会的行動およびコミュニケーションのための行動の説明として、このモデルは研究や診療に対して著しい影響を及ぼした。

このことは、ToMについて教えるための介入がうまくいけば、今度は行動およびアウトカムに対して多大な影響があるかもしれないということを意味する。

そのため、多くの研究によってASDの人に対して心の理論および関連技術を教えることが試みられてきた。

参考文献:心の理論

これは悪意があるのではなく、視力の低い人が眼鏡なしでは遠くが見えないのと似ています。

相手が怒っている理由が理論的に説明されないと、物理的に理解が難しい。

専門的には「社会的認知」の弱さと言われますが、これは決して改善しない「病気」ではありません。

具体的な「ルール」や「言葉での説明」があれば、彼らは驚くほど誠実に対応できることがあります。

療育の場では、感情論で訴えるのではなく「こういう時はこうしてほしい」という具体的な行動指針を伝えるトレーニングを行なっています。

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アスペルガーと自己中心的|「シングルフォーカス」の強み

アスペルガー 自己中心的

アスペルガー(現在のASD)の方が自己中心的に見える最大の理由は「シングルフォーカス」という特性にあります。

シングルフォーカスは、同時に複数のことを処理する、いわゆるマルチタスクが難しいという側面も持ちます。

例えば、電話に出て、相手の話を聞きながらメモを取ることや、同時に他のことを考えることが難しい場合があります。

これは、脳が一つの刺激に集中してしまい、他の情報を処理する余裕がないために起こる現象です。

参考資料:シングルフォーカス

一つのことに集中すると、周囲の音が聞こえなくなったり、相手の状況が視界から消えてしまったりするのです。

これは裏を返せば、驚異的な集中力や深い専門性を発揮できる「メリット」でもあります。

彼らの世界は非常に純粋で、嘘がつけない正直さを持っています。

周囲が「自分勝手」と感じる場面でも、本人はただ「自分の関心事に忠実」なだけである場合が多いです。

相談支援専門員の立場では、この高い集中力を仕事や趣味に活かせる場所(福祉事業所)を一緒に考えます。

一方、コミュニケーションにおいては、視覚的なスケジュール表やマニュアルを用いることで、周囲とのズレを減らしていく工夫が効果的です。

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アスペルガーは「ごめんなさい」が言えない理由|謝罪の前の「状況理解」

アスペルガー ごめんなさい が言えない

「悪いことをしたのに謝らない」という悩みも多いですが、これは反抗心からではないと考えます。

彼らにとって、謝罪には「自分が何に対して非があるのか」という論理的な納得が必要となります。

私が担当している利用者の中にも「なぜ自分が誤らないといけないのか」と納得されずトラブルになりかけました。

ですが、しっかりとした根拠や状況を丁寧に説明することで納得されたケースもありました。

このように、自分の行動がどのようなプロセスで相手を不快にさせたのか。

その因果関係が繋がらないと、謝るという行為が「嘘をつくこと」のように感じられてしまう。

あとはたまに、パニック状態で脳がフリーズしている場合もあります。

そんな時は、叱るのを一度止め、落ち着いてから「状況の図解」をしてみるのが療育的なアプローチです。

事実関係を整理し、客観的に自分の行動を振り返る手助けをすることで、彼らなりに納得して「次はこうする」という解決策を見出すことができます。

謝罪という形式よりも、再発防止のルール作りを優先するのがスムーズな関係のコツではないでしょうか。

発達障害は「自分勝手」に見える大人|社会生活での「見えない壁」

発達障害 自分勝手 大人

大人の発達障害の場合、長年「自分勝手」と誤解され続けてきたことで、自己肯定感が低くなっている方が少なくありません。

職場などで「自分のやり方に固執する」「急な予定変更でパニックになる」姿は、周囲には融通の利かない自分勝手な人に見えてしまいます。

しかし、本人は脳の中で一生懸命、膨大な情報を処理しようと格闘している最中。

相談支援専門員として関わる際は、まずその方の「頑張り」を認めます。

その上で、関係者や専門家と連携し、仕事の手順を構造化したり、指示を明確にしたりする調整を行います。

本人の特性を「こだわり」ではなく「こだわり抜く力」として環境にフィットさせることが大切。

自分勝手と言われていた人が、本人の特性が花開いたおかげで、職場に欠かせないスペシャリストに変わった人が何人もいました。

発達障害の自己中心性|「自他分離」の発達過程を支える

発達障害 自己中心性

心理学的な意味での「自己中心性」とは

社会心理学では、大人でも判断や記憶の際に自分の知識や感情を基準にしてしまう傾向が確認されました。

この認知の偏りにより、他者の理解度や自分の影響力を過大評価しやすくなります。

幼児期に誰しもが持つ「自分が見ている世界が、他人も見ている世界と同じ」と思い込む性質を指します。

こうした現象が整理され、自己中心性バイアスとして研究が進められてきました。

参考文献:自己中心性

発達障害のある方は、この「自分と他人の境界線」や「他人の視点の獲得」に時間がかかることがあります。

しかし、これは成長のステップが独特であるだけで、決して止まっているわけではありません。

療育の現場では、ロールプレイなどを通じて「相手はどう感じたか」を客観的に推論する練習(SST:ソーシャルスキルトレーニング)を行います。

練習を通して丁寧に支援することが重要になってきます。

さらに詳しく

ASDと自己中心的|「想像力の弱さ」を補う具体的な伝え方

asd 自己中心的

ASD(自閉スペクトラム症)の方の自己中心性は、多くの場合「想像力の欠如」に起因します。

相手がどう思うかを想像するのが難しいため、悪気なく相手が傷つく正論を言ってしまう。

これは「正直すぎる」という美徳の裏返しでもあります。

彼らにとって世界は、予測可能で一貫性のあるルールに基づいている必要があります。

「普通わかるでしょ」という曖昧な期待は、彼らを混乱させ、結果として孤立させてしまいます。

相談支援では当然ではありますが、周囲の方へ「明確なルール」をお願いしています。

「10分待ってほしい」「この言葉は使わないでほしい」と数字や具体例で伝えるだけで、彼らは驚くほど協力的なパートナーになります。

互いの「前提」が違うことを認め合うことが、共生の第一歩です。

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ADHDと自己中心的|衝動性が引き起こす「うっかり」の正体

adhd 自己中心的

ADHD(注意欠如・多動症)の方の自己中心性は、ASDとはまた異なり、「衝動性」からくるものです。

頭に浮かんだアイデアをすぐに口に出したり、興味があるものに飛びついたりする姿が、周囲には「他人の都合を無視している」と映ります。

本人は後で「あ、やってしまった」と深く反省していることが多いのが特徴。

これは脳の報酬系の働きが個性的で、今すぐの刺激を優先してしまう特性によるものです。

決して他人を軽視しているわけではありません。

療育的な対処法としては、行動の前に「一拍置く」ための環境作りや、メモの活用、時には医師と相談の上での服薬なども選択肢に入ります。

彼らのエネルギーと行動力は、変化の激しい現代において強力な武器にもなり得る、素晴らしい個性です。

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ADHDと自己中心的な大人|マルチタスクの整理でイライラ解消

adhd 自己中心的 大人

大人のADHDの方は、日常生活の細かなタスク(家事、育児、仕事の納期)に追われると、脳がオーバーヒートし、余裕がなくなって周囲への配慮が欠けてしまうことがあります。

この状態を周囲は「自分勝手に振る舞っている」と感じてしまいますが、本人は溺れそうになりながら必死でもがいている状態。

療育では、生活の「情報のスリム化」を一緒に考えます。

家電やアプリをフル活用し、混乱しやすい情報やスケジュールの交通整理をすることで、精神的な余裕を取り戻します。

余裕さえあれば、本来の優しさや好奇心を発揮できるのがADHDの方の魅力です。

「できないこと」を努力で埋めるのではなく、「仕組み」でカバーする。

この視点の転換が、本人と家族の笑顔を取り戻す鍵となります。

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まとめ

自己中心的な性格と発達障害特性の比較
項目 自己中心的な性格 発達障害(ASD / ADHD)の特性
主な原因 価値観、育ち、選択の積み重ね 脳の機能や情報の受け取り方の違い
意図 自分の利益のために意図的に選ぶ 悪気はなく、気づいていないことが多い
伝え方への反応 指摘されると感情的に反発することがある 具体的なルールや理由があれば納得しやすい
メリット 自己主張がはっきりしている 専門性、正直さ、行動力、独創性
必要な対応 適切な境界線の設定、マナーの再教育 環境調整、構造化、具体的な指示(療育)

発達障害における「自己中心性」は、決して周囲を困らせるための武器ではありません。

それは、独自のレンズで世界を見ている証でもあります。

相談支援専門員として多くのケースを見てきましたが、特性を「欠点」として叩くのではなく、「取扱説明書」として理解し、適切なサポートを行うことで、彼らは社会の多様性を彩る素晴らしい存在になります。

家族だけで抱え込まず、地域の相談支援事業所など福祉サービス事業所などを頼ってください。

特性を理解することは、冷たさではなく、本当の意味での「優しさ」への第一歩です。

今回のブログで紹介した実践したオススメの本を紹介しています。

『よくわかる大人のアスペルガー:自分勝手、わがまま……と思われがちな人たち』

「なぜ誤解されるのか」という理論と対策が詰まった実用書

【概要】

大人のASD(自閉スペクトラム症)に焦点を当て、社会生活で直面しやすい「対人関係のズレ」を丁寧に解説した本です。

タイトルの通り、「わがまま」「空気が読めない」と批判されがちな行動の裏にある、ASD特有の脳の仕組みを解き明かしています。

ポイント

  • 「性格」ではなく「特性」であると明言: 「本人の努力不足」と責めてしまいがちな周囲や、自分を責めてしまう本人に対して、「脳の仕組みの違い」であることを論理的に説明している。
  • 豊富なイラストと具体例: 活字ばかりではなく、シチュエーション別の事例(仕事、家庭など)が豊富。読者が「あ、これ私のこと(あの人のこと)だ」と自分事として捉えやすい構成。
  • 「ライフスキル」の提案: 単なる解説で終わらず、具体的にどう振る舞えばトラブルを避けられるか、という「具体的な処方箋」が書かれているのが強みです。

『発達障害の人が見ている世界』

「相手の視点」を擬似体験できる、共感のためのビジュアルブック

【概要】

精神科医である著者が、発達障害(ASD/ADHD)を持つ人々が日常生活で実際にどのような感覚(視覚・聴覚・思考)で世界を捉えているかを、一人称視点のイラストで再現した一冊。

ポイント

  • 圧倒的な「わかりやすさ」: 文字で説明されるよりも、「こう見えているんだ!」という一枚のイラストが、何倍もの理解を助けます。「自己中心的」に見える行動が、実は「感覚の過負荷」を守るための必死な行動だった、という気づきを与えてくれます。
  • 「主観」を知ることで優しくなれる: 周囲から見れば「変な行動」も、本人からすれば「そうせざるを得ない理由」があることがわかります。この「視点の転換」は、人間関係のイライラを解消する特効薬になります。
  • 最新の知見を網羅: 感覚過敏や注意の偏りなど、最新の医学的知見に基づきつつも、専門用語を抑えて非常に読みやすくまとめられています。

 

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